矢幡洋の犯罪心理学と事件-日々の考察

犯罪事件コメンテーターとしてTVに出ることがあります。社会の出来事や自分の体験を心理学的に考察します。3日に一度、昔、単行本などに書いた少年犯罪分析を連載します。自分で取材した古い事件もあります。他、本家ホムペ・ブログ更新情報も告知します。

「元の世界に戻して」被虐待児は成長した後、解離障害に襲われる。その後・・・この部分は8月31日までネット上で無料立ち読みできます!
もし元不登校児の娘が自閉症だったら
「ママなんか死んじゃえ」衝撃の著者家族ノンフィクション!   

ASKA被告初公判が真の動機を明かした | 人気が二つのものに手を出させた?

 抗弁しなかったのはかっこつけだったのでは?

  CHAGE and ASKAのASKA( 本名宮崎重明)被告を公判が今日行われました。ASKAは起訴事実に関して争わず、「何か言いたいことはありますか」「ないです」「いずれも間違いがないと聞いていいですか」「はい」という最短の言葉で容疑を全面的に認めて終わりました。弁解する姿を一切見せたくないというかっこつけだったんじゃないかと思います。以下の解釈でそれは説明できていると思います。

過去のエピソードを調べてみたら、けっこう自己愛的

 私自身が、何曲かお気に入りのASKAの作詞作曲があったこともあり、今回の経緯を踏まえると 「一体、どういう人だったのだろう?」と言う思いをぬぐえないでいました。


 ASKA被告逮捕後、疑惑が持ち上がる以前から、彼の人間性を伝える情報を集めてみた結果、私は、自己愛性人格障害を疑うようになりました。


 自己愛性人格障害とは「自分に対して過大評価している」 「自分は特別扱いされるのが当然だと思っている」 「自分のことに夢中で、他人に対しては共感性に乏しい」などを特徴としています。


かつてのASKA被告の言動の中で、私がそれを最も強く感じたのは次のようなエピソードです。


『ASKAさん、シークレットブーツ履いてるんだよね。背が低いのがコンプレックスだからさ、歌い方もそうだけど、自分を大きく見せようとしているの。それで自分よりも背が低いCHAGEさんと組んだっていう噂もあるくらいだからね』アサ芸+
 元芸能関係者が語るエピソードです。これを見ると、ASKA被告は、決して自然体の人ではありません。 「他人に劣って見られたくない」と言う気持ちの強い人です。

作詞にも自己愛の強さが表れている

 さらに、今年フアン限定で発表されたという『Bee Free 』 。目立たないところに「僕は・・・輝きばかりを求めて歩いているのに」と言う台詞があります。これは、 「栄光を求めて人生を進んでいる」と言う意味だと思います。つまり、上昇志向が強く、栄光を目指すという自己中心的な一面が見て取れます。

やはり見た目気にする人か

  さらに、この詩のなかには「心の見張り立たせてどんな夢にたどり着けるのか」と言う表現もあります。ここでもやはり、 「夢」というポエムな言葉が使われてはいますが、実質的には上昇志向を示しているように思われます。自己愛性人格障害は、他人からの賞賛を求め、他人の印象をコントロールしようとします-つまり、自分自身の言葉・ルックス・パフォーマンスを常にコントロールしなければなりません。 「心の見張り」というのは過剰な自己チェックを指しているのでしょうか。

「人気低下のストレスを晴らすため」ではなかったことが明らかに

 自己愛性人格障害を背景とすると、 「プライドが異様に高いASKAは、絶頂期を過ぎて人気が低下していくことを人一倍ストレスに感じ、それを紛らわそうとして覚醒剤に手を出した」と言う説明も過去ありました。 。しかしそうではありません。平成5年 200万枚を超えるヒットを記録した「YAH YAH YAH」を発表しています。今回の公判では、検察官は「平成6年ごろ、英国内でMDMAを使用し、遅くとも平成22年以降には、複数の氏名不詳の密売人から覚醒剤を購入し、“あぶり”などで繰り返し使用していました」と指摘していました。 すると、 「絶頂期において『俺は、どんなことでもできる 』という全能感が歯止めが効かなくなり、自己愛性人格障害特有の『俺は特別な人間なんだから、世間ルールに縛られる必要は無い』という「特別扱いされるのは当然」というおごりから調子付いて違法行為に走ったとするのが穏当でしょう。

クスリを使った女性ハンターだった可能性

  しかし、逮捕後に次々に明るみに出されたASKA被告の複数の女性との関係から、別の解釈ができる可能性もあります。


 1部の週刊誌で指摘されていた、 「 ASKA被告の覚せい剤は、人気が衰える以前から行われていたものだ」 と言うことを裏付けることになりました。 再びアサ芸+の記事によれば、  「人気絶頂期にあった90年代後半に、節税対策としてスタジオ名目で購入した一軒家が東京・世田谷区にあるのですが、事務所のスタッフらがASKAが気に入りそうな清楚系の和風美女を呼び寄せて、パーティを開いていた時期があった。参加したことがある知人によると、トイレに行く際にたまたまベッドルームをのぞいてみると、『床にはパイプが転がり、異臭がした』と言っていましたよ」と周囲のスタッフが漏らしていた、ということです。同記事には、元ホステスが「自分の女友達もASKAと関係を持ってしまい、結局別れたが、その時には、ガリガリに痩せ、奇行もあったと覚醒剤に手を出していたかのような証言が書かれています。


 その他、元宝塚のスターで女優の天海祐希もASKAとのあいだの不倫を報道されています。女優の古手川祐子さんとも不倫疑惑が持ち上がっていました。薬物使用疑惑を報じていた「文春」は、22日発売の同誌でASKA被告の長男が小学校5年生の頃からお父さんの部屋にパイプがたくさんあり、変な臭いがすると語っていたことや、長男の家庭教師が「一緒にやらないか」とASKA容疑者から誘われたという話を掲載しています。また、一緒に逮捕された栩内被告は、 「ASKAからは、 『合法的な薬』と説明されており、覚醒剤だったとは知らなかった」と主張しています。


これらの報道を見ると、ASKA被告は、気に入った女性に手当たり次第に声をかけていたのではないか、という疑問を感じます。

「女を次々に征服して自己満足」はナルシストの一種

  これらの、女グセの悪さもまた、自己愛性人格障害で説明できる部分があります。ミロンは、この人格障害のサブタイプとして「ハンター・タイプ」つまり女性を口説きまくる男をあげています。彼らにとっては、 「女性を征服し得た」と言うことが、ことのほか「俺ってモテモテ」という自己愛を満足させるものなのだ、と言うわけです。

クスリは女性ハントのためのツールだったのか?

  最初から、 「モテる自分」を証明するために女性を口説き落としセックスすることに執着しており、当初、覚醒剤はハンティングを実現するための「ツール」に過ぎなかった、という見方も成立するかもしれません。


 以上、本日の公判から明らかになった事は、ASKA被告は、 「人気下降や創作の行き詰まりからストレス解消のために覚醒剤に手を出した」ということではなく、 「自分には何でもできる、すべてが許される、女だって思い通りに出来る」と言うおごりの勢いから覚醒剤に手を出した、とみることができそうです。

こういう人、けっこういませんか?「立派な俺には何でも許されている」

 もちろん、僕の見方が絶対というわけではありません。実は、以上の推論は、過去に会ったことがあるある人物のイメージが影響しています。

院長は僕が近づいてくるのに気がつき、虚を突かれた表情を見せた。「精神医療革命」「西洋医学と東洋医学の融合」などとスローガンを並べたがる格好つけ男が目の前で慌てて立ち上がる。

「解雇、撤回してくださいよ」
「やかましい」

院長はライオンよろしく、ひげを伸ばしていた。僕はそこに口づけするほど顔を間近に寄せた。「昔、医局解体闘争で火炎瓶を投げた」などと喧嘩自慢する奴に限って、中身は弱いのだ。

「は?なんて仰ったんですか?もう一度聞かせてください」

院長は立ち上がって後ずさりした。そして喚いた。

「あっちへ行け!」

矢幡洋著・『病み上がりの夜空に』 【第4回】僕の章―廃墟(その1)---布は、波や花吹雪、あるいは寒色の炎となり、美しく旋回した。その中心にジーパン姿の女性がいた。 | 立ち読み電子図書館 | 現代ビジネス [講談社]

  ええ、美しい言葉を並べる自分が大好きな男と間近でやりあったことがあるんです。そして、この人物の女性関係も・・・ここらへんで止めておきましょう。